第8章 【Twitter企画】淡紅姫-泡沫に燃ゆる-/ 豊臣秀吉
「はぁっ…ぁあっ…美依っ………!!」
────そうして、その蜜夢に堕ちていった
俺は馬鹿みたいに、何度も体位を変えては美依を貫き、その腹に白濁した欲望を注ぎ……
それは、美依が意識を飛ばすまで続いた。
文字通り……俺は美依を抱き潰したのだ。
後悔は先に立たないと言うけれど、気を失った美依を見て、我に返った俺は……
美依の身体の心配よりも先に、
『美依に嫌われるかもしれない』
そんな自分勝手な心配が、頭を過ぎった。
浅ましい姿を晒して、泣いても止めてやれなかった。
やはり俺は、兄貴の皮を被った獣だったのだ。
『媚薬に冒された美依を少しでも楽にするため』
その名目で抱いたのに、結局暴走して……
己の欲望を一番に取ったことに、酷く自己嫌悪に陥り、美依が目を冷ます前に居なくなろうと思ったが。
情事後の女をほっとけるか。
そう思い、美依が目を覚ますのを待つ事にした。
それでも俺自身、幾度も達したために、疲労も溜まり……情けないが、そのまま眠ってしまったらしい。
美依と一つの褥に、身体を寄せ合いながら。
まるで恋人同士のような、そんな閨での目覚めになるのだが……
*****
(ん……?)
腕の中から、何か逃げたような感覚がして、俺は深く落ちていた意識を浮上させた。
気怠さが全身を包み、頭もぼんやりする中……
視界がやっとハッキリし、目の前のものに焦点が結ぶ。
目に映ったのは、痕だらけの小さな背中だった。
華奢な肩が、小さく上下しているのを見て……
俺は、ぽつりと。
俺はいつものように、穏やかな声を掛けた。
「……美依」
「……っ、ひ、秀吉、さんっ…お、おはよ……」
(媚薬、抜けたか……?)
昨日とは違い、熱に浮かされていない、ハッキリとした口調。
まぁ、多少は上擦っているが……
こちらを向かないので、顔が見えないから様子までは解らないけれど。
俺は手を伸ばし、美依の肩から垂れる髪に触れると、それをゆっくり梳きながら、また美依に問いかけた。