第8章 【Twitter企画】淡紅姫-泡沫に燃ゆる-/ 豊臣秀吉
「身体、変なのっ…熱くて、ゾクゾクして……」
「美依……?」
「あのお菓子食べてから、私変なのっ……」
……菓子?
俺は疑問に思い、美依に近づくと目の高さまでしゃがみ込んだ。
そして、美依を間近で見ながら、優しく問いかける。
「菓子がどうしたんだ?」
「買ったの、露店に可愛いお菓子があって…それを、買って食べたの。そしたら……」
「そしたら?」
「身体が疼きだして、芯から熱くなって…誰かに触ってほしくて、堪えきれなくて、結局自分で……」
美依の言葉に、頭で考えを巡らせた。
食ったら身体が疼いた?
食べてそんな風になるって、中に何か……
(……っ、それって、まさか……)
少し考えて、美依のその様子のおかしさに、俺の頭の中でひとつの仮説が浮かんだ。
美依が買ったと言う、その菓子には……
何か、薬のようなものが混ぜ込んであったのではないか?
つまりは、媚薬とか。
覚淫剤のようなものが──……
「……それなら納得いくな」
「え……?」
「その菓子、媚薬みたいな成分のものが入ってたんじゃないか?」
「び、やく……」
「覚淫剤とかな、そんなもんが出回ってるとは思いたくないが……」
「……っっ」
美依が口ごもって、唇を震わせる。
実際、いくら取り締まっても、そういう危ないものを売る闇商人は、なかなか減らないもので。
美依は運悪く、そういった類いのものを手に取ってしまったのだろう。
怪しいものほど見た目は美しく、人を惹き寄せるものだ。
だが──……
俺の認識では、媚薬は結構厄介だ。
常用しなければ、そんなに身体に害はないものの、一回身体に入れば、それが抜けるまで身体が疼いた状態が続く。
甘美な刺激を欲しがり、身体が渇いて堪らない。
今の美依が、そんな状態だとしたら……
「美依……」
俺は何気なく、美依の頬に手で触れた。
すると、それだけで美依は大げさなくらい肌を震わせ、艶めかしい吐息を漏らして……
苦しそうに、でもどこか色めいた表情で。
俺を見つめ、懇願するように言葉を紡ぐ。