第7章 〖誕生記念〗溺れる微熱に、口づけの花束を / 石田三成
「三成君、早く早く!早く入ろうー!」
「美依様、はしゃぐと足を滑らせますよ?」
目の前で、美依様が堪らないといったようにはしゃいでいる。
そんなに温泉が嬉しいのかな、可愛いなぁ。
私は脱いだ着物を綺麗に畳みながら……
内心苦笑し、美依様の姿を目で追った。
────今日は近場の温泉に、湯治に来ている
誕生日に落馬して怪我をし、それを気にした信長様と秀吉様が、私と美依様を温泉に送り出してくれたのだ。
まぁ、あの日は怪我も忘れて、美依様をむちゃくちゃに抱いたから。
無理をしたせいで、若干治りが遅いのは自業自得。
多分それは、信長様達も察したのかもしれない。
次の日美依様と共に肩身が狭かったのも、今になるといい思い出だ。
(それにしても、はしゃいでるな、美依様……可愛いなぁ)
温泉を目の前に、美依様は襦袢一枚の姿で、そわそわしている。
そんなに一緒に入れるのが嬉しいのかな。
本当に私のお姫様は可愛くて参ってしまう。
「お待たせしました」
「わぁっ……」
私が背後から近づき、背中から抱き締めると、美依様は小さく声を上げた。
わぁっ……て、それも可愛いな。
何をしていても美依様は可愛いと結論づけて。
美依様の腹に手を回し、肩に顎を乗せる。
足の下には、ほかほかと温泉の湯気が上がって。
私自身も、まるで子供のように心が浮ついた。
「じゃあ…入りましょうか」
「結構熱そうだね、すぐ逆上せちゃうかな」
「入ってるだけなら、大丈夫でしょう。色々したら別ですが」
「色々?」
「はい、例えば……」
「ひゃっ…!」
そのまま首筋に唇を這わせると、美依様は大袈裟なほど身体を震わせた。
だって、一緒に濡れたら当然考えてしまうし。
私も男だし、堪えきれなくなったら……ね?
「三成君のえっち!」
「えっちとは……?」
「いやらしいって事!」
「なるほど…なら私はえっちで構いません」
「もう、三成君は……」
美依様が困ったように笑う。
貴女だから、いやらしくなるんですよ?
貴女は煽るのが上手いから……
だから自業自得、責任取ってくださいね?