第7章 〖誕生記念〗溺れる微熱に、口づけの花束を / 石田三成
(こ、これはっ……)
動揺する間もなく、今度はするりと頬に手が添えられる。
そして、真正面で見つめてきた美依様が……
照れたように微笑み、また言葉を紡いだ。
「三成君、大好き……」
ちゅっ……
今度は頬に柔い温もりが落ちる。
柔らかい唇の感触、若干湿った温度。
ありありと感じた、その『美依様の愛情』に、背筋がぞくりと音を立てて疼いた。
「美依、様っ……」
「どうしたの……?」
「い、いえ……」
「三成君、今日を祝えて、本当に嬉しいよ」
「ぁっ……」
また美依様は囁き、今度は耳元に口づけられた。
熱い吐息が耳の中をくすぐり、ゾワッと全身の毛が逆立つ。
耳たぶを甘噛みしたのか、ぴちゃっと濡れた水音まで聞こえてきて……
まるで『愛する行為』を示すかのような、そのいやらしい響きに、いつしか漏れ出る荒い息を止めるのに必死になっている自分がいた。
────色々まずい、これは
美依様が可愛らし過ぎて。
囁く言葉も、次いで落ちる温もりも、少し恥ずかしそうな仕草も……
その全てに、過敏に反応してしまう。
愛する者から贈られる口づけが、こんなに感じるものだとは、思ってもみなかった。
まるで、触れた部分から痺れたように感染する、甘い甘い蜜毒のように。
私が変になるほど、冒され中毒にさせられる。
「三成君、貴方は私の宝物だよ」
「……っっ」
続いて口づけが落ちたのは、首筋。
軽く噛むように、桜色の唇が首筋を啄む。
次第に長着の前をはだけさせられ、剥き出しの肩を通り、腕を通り、指先まで。
淡い口づけの嵐が、私の硬い肌を通り過ぎた。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
「これからも一緒に居ようね」
その一つ一つに、愛らしい言葉が添えられる。
それだけでも感無量で、泣きそうなのに。
別の意味で啼かされそうになる、そんな自分がいた。
柔らかい唇が肌に押し付けられるたび……
そこから熱が生まれて、それは肌中に広がって。
まるで、神経をやられたんだと勘違いするくらい、尖る感覚に肌を震わせた。
これでは、私が持たない。
そうは思っても、美依様の口づけは止まることを知らず、次々に肌に降ってきた。