第5章 ジョウカヘ
耳に触れられ、一瞬身を捩らせたが、秀吉に笑ってみせた
「っ!そろそろ行くぞ!信長様がお呼びだ///」
「信長様が?」
「来たか、清香、秀吉」
「何の御用ですか?」
今朝の一件もあり、緊張していた清香だったが、信長は気にすることなく、積み上げられた箱の中に手を入れ、手のひらサイズの小瓶を清香の前に置いた
「これは?」
「南蛮からの献上品だ。女が身につける香だと聞いてな」
「ほー…香水か何かかな?」
清香は小瓶をまじまじと見つめた
「それを貴様にくれてやる」
「え?!私にですか?」
「なんだ、不服か?」
「いえ!嬉しい限りですけど、私が頂いても良いんですか?」
「これは女の使うものだ。使うに値するのは貴様しかいないだろう。いいから受け取れ」
信長は瓶を掴み、無理矢理清香の手に握らせた
少々乱暴だが、信長の優しさが伝わってきた
「あ、ありがとうございます…」
「今日は貰ってばっかだなー…」
秀吉は信長に報告するため天守に残り、廊下を清香1人であるいていた
「あれ?家康さん?」
清香は前から歩いてきた家康と目が合った
目が合ったとはいえ、家康は何冊か書物を抱えていたため、着物の色で理解した
「何、あんたか」
(そう言えば私、まだあんまり喋ってないな…家康さんとは)
「今から何処へ?」
「…書庫に行く途中だけど…それが何?」