第2章 タイムスリップ
「でも、どうして…だって私、外にいたのに…」
周りを見ても、先程見ていた石碑や観光客、由紀が出向いた店もなかった
「貴様、一体どこから来た?もしや、褒美目当ての娘か?それにその妙な服は一体…」
男は清香を見下ろし上から下まで見た
「私も正直なんとも言えないです…それよりなんで甲冑なんて…映画の撮影か何かですか?刀だって銃刀法違反なんじゃ…」
「何を言っている?貴様、俺の名を知らんのか?」
「名前?初対面なのだから分かるはずもないでしょう」
(なんだろ、話が噛み合ってない…まさかとは思っていたけど、そのまさかのまさかだけど…)
最悪な予想を出した清香はおずおずと質問をした
「あのー、つかぬ事をお聞きしますが、今は何年で貴方のお名前はー…?」
「貴様、先程から何を言っている?まぁ、いい。1582年で俺は織田信長だ」
1582年
織田信長
燃え上がった建物
『本能寺の変』
そんな言葉が脳内を駆け巡っていた
「嘘…じゃあ本当にタイムスリップを…」
「?何を言ってるんだ?」
そう言って信長と名乗る男は首を傾げ私を見下ろした
「俺は名乗った。貴様は?」
「安住…清香です」
「清香か…良い名だな」
そんな褒め言葉など清香には聞こえない
いきなり500年前に飛ばされ、信長に出くわしてしまったのだから
「あ、あのー!私帰ります!それじゃあっ!!」