第3章 アヅチジョウヘ
「そーなんだ…笑」
(とても素直だな…)
「それじゃ」
ボンッ
煙玉を床に投げ、姿を消した佐助
さすが忍だと、驚嘆する清香
(とはいっても正確にはどのくらいなのかな…1年…も居るようになっちゃうのかな…)
この時代に生きるということは家族や友達とも会えないこと
それを考えると、途端に胸が軋んだ
(ダメダメ!ホームシックになっちゃダメ私!)
パン!と自分の両頬を手で叩き、意を決した
「おい清香、いるか?」
「っ!はい!いますよ!」
襖の方から声がした
「夕餉の時間だ。広間に来いよ」
声の主は秀吉だった
「了解でーす!」
足音が遠のき部屋を離れたことを確認すると、帯を緩め着物を脱いだ
着物など縁がなかった清香は着るのは難しいが、脱ぐのは簡単だっらしい
(着物の着方、覚えないとな…女中さんに迷惑かけらんないし…)
全て脱いだ清香は綺麗に畳んである自分の制服に目を落とした
(城内にいるくらいならいいかな…)
自分が付けていた下着を付け、制服のシャツに腕を通して袖を肘まで捲りあげ、紺のプリーツスカートを履いた
リボンは面倒なので付けず、グレーのベストをシャツの上から着て、黒の靴下を履いた
アンバラスだとは思ったが膝丈の水色の羽織を着た
「着慣れた服の方が良いよね、やっぱり」