第3章 アヅチジョウヘ
「だから、ここに居るからには皆さんと仲良くしたいんです。お互い息苦しくならないようにも」
真剣な眼差しで家康に本音を伝えたかったからだ
「…好きにすれば」
「あっ…行っちゃった…」
「大丈夫ですよ、清香様。時間の問題でもあります。ちょっとずつでいいんですよ」
「三成くん…」
天使の微笑みが目に写り、今にも泣きだしそうだ
「清香様?一体何を…」
「なんとなく…」
三成の言葉で緩和された清香は思わず三成の頭を撫でていた
「何なのあの子…」
「なんだ家康。あいつに同情でもしちまったのか?」
清香と別れた後、庭に出て家康の非常食(家康によると)である小鹿のワサビの所にいた
「政宗さん」
家康に話しかけたのは、右目に眼帯をした男、政宗だった
「すごい変な女でしたからね」
「まぁ、未来から来たと言うくらいだからな」
「政宗さんは信じますか?その話」
政宗は目を伏せ、清香の顔を思い出しながら考えた
二重の目に少し幼い顔をし、何も知らない純粋無垢な笑顔
政宗は口角を釣り上げたまま家康に言った
「信じるか信じないかは、俺が自分で決めるさ」
「政宗さんらしいです」
「取り敢えず住処は決まったから良いとしよう」
部屋に着いた清香は今後について頭を悩ませていた