第3章 アヅチジョウヘ
「良かったですね!清香様!」
あの後、話は済んだと解散した後、三成と早に向かう途中だった
「うん!ありがとう、三成くん」
「全く、三成も懐いたもんだよ」
目の前には柱に寄りかかり、無表情でこちらを見てくる男がいた
「家康様!」
「家康?徳川家康だ!」
そそくさと家康に詰め寄り下からまじまじと見上げた
「な、何あんた…」
いきなり初対面の女に詰め寄られ、怪訝な顔をした
「何って、自己紹介ならしましたよ?」
「そういう事じゃないし、いきなり顔を近づけてくる奴があるかってこと。政宗さんじゃあるまいし」
「あ、ごめんなさい」
ちょんと、1歩下がった清香をまだ、嫌そうに見る家康
(さっきも思ったけど、猫っ毛だなぁ笑)
「よろしくお願いしますね!家康さん」
「別に弱い奴には興味無いから」
表情変えることなく清香に言った
弱い奴
誰もが絶句し嫌がる言葉だろう
だけど清香は折れることなく笑顔で言った
「弱い奴?」
「そうだけど、間違ってる?」
(うーん…ひねくれてるなぁ)
「それ、何を見て言ってるんです?」
「っ!」
笑顔で言う清香にビクリとする家康
もはや三成の存在を忘れてしまっているようだ
三成も後ろでオロオロしている
「別に俺は、あんたと馴れ合う気はないからね」
家康は紬に背を向け、自分の御殿へと帰ろうと踵を返した
「でも私、家康さんとも仲良くしたいです」
「は?」