第3章 アヅチジョウヘ
「え、誰?ていうか、お気に入りって?」
門の前には白銀の髪をした長身の男が立っていた
「なんだ、違うのか?まぁいい、俺は明智光秀だ」
(明智光秀って、本能寺の変の黒幕だよね、確か)
教科書に書かれたことを思い出しながら、馬を降りた
「とにかく、信長様がお待ちだ。格好を整えてから行くことだ。三成、部屋に連れていけ」
「了解しました」
光秀の後ろには紫色の着物を着て、泣きぼくろがある男が顔を出した
「では清香様、こちらへ」
「あ、はい…」
三成に案内され、部屋に入ると3人の女中が上質な着物と髪飾りを用意し待ちわびていた
「では、私はこれで」
「ありがとうございました、三成さん」
「お気になさらず、三成とお呼びください。敬語もなしで構いませんよ」
天使の笑みを浮かべ紬を見た
「(天使だ…)じゃあ、三成くんでいいかな?」
「はい、清香様」
一礼し、部屋をあとにした
「では、清香様はこちらへ。先にお召換えを」
「はい!」
(ダメだ変にかしこまっちゃう!)
「とてもお似合いですわ」
鏡の前に立つ清香は自分の身なりの変わりように驚愕していた
この時代では高貴な刺繍の施された着物の上から、また綺麗めの打ち掛けを羽織っていた
「随分な変わりようだな、清香」
部屋から出た紬は部屋の外で待ち伏せしていた光秀に話しかけられた