第48章 嫌疑と再会
「仲良くやろうと言われてお前は嬉しかったんだろ?お前を1番初めに喜ばせた男が俺じゃなかった事が悔しかった……」
「兵長……」
少し暗くなってきた部屋でもリヴァイの目元が赤く見えたのは、気のせいではないだろう。
「あの…確かに友達ができた事も、仲良くしようと言われたのも嬉しかったですが…もしその相手が兵長でしたら私達はずっとお友達…という事になってしまいますよ?」
リヴァイの気持ちは分からなくなかったが、ルドロフが持っているクレアの“初めて”までリヴァイのモノになってしまったら今の関係は生まれなかったかもしれない。
それはそれでよろしくないのではないか。
クレアは少し首を傾げながらリヴァイを見上げる。
「…………」
そんな腑抜けた事はしない…
そう言い返したかったリヴァイだったが、うまく言葉が出てこなかった。
相手は鈍感無自覚奇行種のクレアだ。
現に、自分はクレアと恋人関係になるまでに散々葛藤をし、考えあぐね、手をこまねいて、空回りに空回りをして何とか“恋人”という関係になれたのだ。
クレアの言う通り、変に友達なんていう枠に収まってしまったら更にややこしくなっていたかもしれない。
ここは仕方ないが“初めての友達”と言う称号は、あのルドロフにくれてやるしかなさそうだ。
「まぁ…お前の言ってる事も一利あるな…」
あくまで上からな返事をすると、リヴァイは顔を近づけ唇を重ねようとした。
「だが、今後はどんな事だろうと俺の許可なくお前の“初めて”を他の男に安売りするのは許さないからな…」
「は、はい……」
滅茶苦茶な独占欲だが、それを心地良いと感じてしまうのはクレアもリヴァイを愛しく想っているからだろう。
クレアは消え入る様な小さな声で返事をするとギュッと目を瞑った。
リヴァイの唇はもう目の前だ。
ドキドキしながらその唇が重なるのを待っていると、部屋の外からバタバタと騒がしい音が近づいてきた。