第48章 嫌疑と再会
「……………」
ルドロフが厩舎の中に入って行き、姿が見えなくなると、クレアは途端に気不味くなった。
そして、周りの視線が突き刺さる様に痛い。
「み、みなさん…食堂へ行きませんか…??」
この後食堂で、クレアがアレやコレやと質問攻めにあったのは言うまでもないだろう。
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そして食後、2人で部屋まで戻ってきたリヴァイとクレア。
リヴァイは食堂でアレコレと質問攻めをしているハンジをジロリと睨みながらも黙々と食事をしていた。
クレアはクレアで、せっかくの豪華な食事もハンジの質問攻めと、リヴァイの冷たいオーラに挟まれしまい、いったいどんな味だったかまったく覚えていなかった。
広い客室に無言で2人きり。
この無言が異様な程気不味い…
すると先に口を開いたのはまさかのリヴァイの方だった。
「おいクレア…お前、訓練兵時代はデイジーしか話し相手のいない寂しい根暗女じゃなかったのかよ?」
「え?えぇ?」
リヴァイは訓練兵時代の話を直接クレアから聞いた事はあまりなかった。
そのため、クレアが訓練兵団ではどんな訓練兵だったのかは完全にリヴァイの想像でしかなかった。
リヴァイはクレアの事を、“デイジーしか話し相手のいない寂しい根暗女”と思っていた様だ。
そのため、あんなに親しげに声をかけてくる男がいるなんて思ってもみなかったのだ。
当然だが、リヴァイの腹の中は嫉妬という黒い感情で煮えくり返っていた。
「ね、根暗女は酷いです…ですが…間違いでもありません…確かに私はデイジーくらいしか話し相手はいませんでしたから…」
「じゃあさっきお前の手を握ったルドロフとかいう奴はいったい何なんだ?!馬しか話し相手がいない根暗女にどうやったら手を握り合う程の親しい男ができるんだ?」
「へ、兵長……?!」
今のリヴァイはルドロフに嫉妬をしている…
クレアは嫌な予感が走り、ジトリとした冷や汗が背筋をつたった。