第48章 嫌疑と再会
「ナイル師団長からの仕事を任されるなんて…凄いじゃない…本当に…立派な憲兵になったのね…」
「確かにそうかもしれないが、やってる事は雑用だぞ。」
「でも…でも…雑用だってナイル師団長からの仕事でしょ?誰にでも任せられる仕事ではないはずよ。」
「…そう言って…くれるのか?」
「え?当たり前じゃない?!」
すると、ルドロフは少し照れ臭そうに笑うとクレアの両手を取りギュッと握った。
「えっ?!!」
「こんな事、言うつもりはなかったけど…お前と、約束…してたからな…立派な憲兵になるって…」
「ルドロフ……」
「このままナイル師団長に頑張りを認められて、直属の部下になれたら、その時は本当にお前との約束を果たせる事になるな…だから俺…頑張るよ…」
約束……
約束とは卒団式の時、別れ際に話した事だろう。
ルドロフは立派な憲兵に
クレアは絶対に死なないと…
そんな事をずっと覚えていてくれた事に胸が熱くなったクレアは、訓練兵の時にルドロフに親しくしてもらった思い出が次々と溢れ出してきた。
「そういうクレアだって、立派な調査兵になったな。」
「え?!」
「俺…壁外調査が終わるといつも死亡者リストにお前の名前が無い事を確認してはホッと安堵していたんだ…もう3年目だろ?立派な調査兵だよ。でも今回審議にかけられる事を知って心配してたんだ。だから、疑いが晴れて本当によかったと…安心したよ…」
「あ、ありがとう……」
しばらく2人の会話を黙って聞いていた一行だったが、茶々を入れたくて焦れている上官と、すぐにでも削いでやると殺気を漲らせた人類最強の兵士長がただならぬオーラを纏ってその様子を見つめている。
さすがのルドロフもハッと我に返り周りを見やると、調査兵団のトップに人類最強の兵士長、そして卒団前の秋にエルヴィンの代理で調査兵団の勧誘講義に来ていた巨人オタクのハンジ。
その錚々(そうそう)たる顔ぶれに思わず慌てて握っていた手を離すとルドロフはエルヴィン達に向かって敬礼をした。