第48章 嫌疑と再会
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夕刻
会議で話し合われたのは、何度も同じ事を繰り返し言い合うだけの、まさしくハンジの言った通りの内容に終わった。
この様子だとおそらく明日も明後日も同じ事を繰り返すだけだろう。
「んあ〜〜〜〜!!つっかれたー!!それにお腹空いた。もう荷物部屋に置いたら皆んなで先に食堂でご飯食べちゃおうよ!」
ストヘス区の兵舎に戻ってきた調査兵団一行。
愛馬ランティスを馬房に入れ終えたハンジは凝った肩をグルグルと回しながら皆に提案をした。
「そうだな…確かにクタクタだな。ハンジの言う通り先に食事でも……」
厩舎から兵舎の玄関に向かって歩きながら、エルヴィンがその提案に了承しようと答えるが、最後まで言い終わる前に誰かがクレアの名を呼んだ。
「おい!クレアか……?!」
「え……、あ………あなたは……!?」
自分の名を呼んだ者の顔を見て驚いたクレアは、目を大きく見開いたまま動けなくなってしまった。
「え?クレア?あの彼は…知り合い?」
口元に手を当てたまま動けなくなっているクレアの顔を覗きこみなからハンジが問いかける。
「嘘でしょ……ルドロフ…なの?」
兵舎の玄関からクレアの名を呼んだのは、3年間訓練兵団で一緒だったルドロフ・アルバートだった。
「やっぱりクレアだよな?!」
駆け寄りクレアの前に立ったルドロフは、卒団式の時に向かい合って握手をした時よりも更に身長が伸びていて、それは見上げてしまう程だった。
「う、うん…ルドロフはストヘス区に配属されていたの?」
「いや、俺が配属されたのはストヘス区ではないんだが、今回のトロスト区の一件で急遽臨時でナイル師団長の雑用を任されることになったんだ。だからこの所はあちこちと行ったり来たりだ。」
臨時の雑用といえど、ナイル師団長の仕事を受け持つなどよっぽど信頼されていないと任される仕事ではない。
クレアはルドロフの出世に更に驚きを隠せなかった。