第48章 嫌疑と再会
「あっ、ミケさん…これは私ではなく、ハンジさんが包んでくれた物です。」
「そうなのか?」
すると、ハンジがデリカシーの欠片も感じられない発言をミケにしてくれた。
「そうそう!!クレアったらさぁ、朝いちで出るよって言ったのに名残惜しそうにこのパン見つめてるからさ!アハハ!貰ってきたの。でもいいの?これ、クレアが食べたかったんじゃない?」
「ハ、ハンジさん!!」
確かに少し名残り惜しかったが、ここまで持ち出すほど食意地は張っていない。
「だ、大丈夫です!!私は今朝食堂で頂いてきましたので、どうぞ皆さんで召し上がってください!!」
「そうか、そういう事なら遠慮なく頂こうか…」
「はい!どうぞどうぞ!モブリットさんもどうぞ!」
「あ、あぁ…すまない…」
クレアとリヴァイ以外は皆朝食抜きでここまできたのだ。
なんだかんだ言っても、貰ってきておいて正解だったと思ったクレアは紅茶でも淹れようと立ち上がる。
「ハンジさん、給湯室に来客用の茶葉なんてあったりしませんかね?」
「どうだったかな〜?でも給湯室ならあるんじゃない?」
「じゃあ私、紅茶淹れてきます。少し待っていて下さいね。」
クレアは紅茶を淹れに一旦出ていった。
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「あ、あった?!これ…かな?」
ヤカンに水を入れ火をつける。
そして給湯室のシンクの上に取り付けられた食器棚の扉を開けると、茶葉と思われる缶を見つけたが、少し奥まった所にあってクレアの身長ではなかなか届かない。
懸命に背伸びをして腕を伸ばすが、それで取れれば苦労はしない。
この手の場所にある物は、クレアの身長では大抵届かない。
「はぁ……」
これで自身の体型を恨むのは何度目だろうか…
何か踏み台の様な物がないか辺りを探そうとしたら、背後から声をかけられた、。
「ねぇ君、どうしたの?」
「!!?」
まったく聞き覚えのない声にクレアは少し警戒をしながら振り返った。