第48章 嫌疑と再会
5年前の惨劇とつい先日起きた惨劇の再来。
2度の地獄を目の当たりにしながらも、巨人を討伐したいという熱を滾らせていられるその情熱と精神力。
「悪くない……」
誠に悪くない状況だった。
「エルヴィン、コイツの世話は俺が責任を持つ。上にはそう言っておけ…」
「リヴァイ?」
「俺はコイツを信用したわけじゃない。コイツが裏切ったり暴れたりすればすぐに俺が殺す。」
「………」
ー裏切れば殺すー
リヴァイのその迷いのない言葉。
この目の前にいる人類最強の兵士長は、必要だと判断すれば、本当に慈悲の欠片も無く自分を殺すだろう。
その三白眼の鋭い眼光に少し怖気づくが、エレンとて半端な気持ちで訓練兵団に入ったわけではない。
巨人を殲滅させたいのは、何が起ころうと昔も今も変わらないのだ。
そのため、怖気づきながらもエレンはリヴァイの鋭い眼光を懸命に見つめた。
「上も文句は言えんはずだ…なんたって、俺以外に適役はいないからな…」
するとリヴァイはエレンが収容されている鉄の格子を掴み告げる。
「認めてやるよ。お前の調査兵団入団を…」
すると、エルヴィンもエレンの意志がしっかりと伝わったのかイスから立ち上がる。
「君の意志は伝わった。もう少しここで辛抱してくれ。我々がなんとか話をつけてみる。」
そうエレンに告げると2人は地下牢から出ていった。
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その頃、待機を命じられていたハンジとモブリット、ミケとクレアは別室で時間を持て余していた。
「みなさん、朝ごはんまだですよね?よかったらコレ、召し上がって下さい。」
そう言って出したのは、今朝リヴァイのハンカチを使ってハンジが包んだパンだった。
「ほう…クレアは準備がいいな。」
ミケが鼻で笑いながらその用意の良さを褒めるがこれはクレアが包んだ物ではない。