第48章 嫌疑と再会
「…見ての通りだが地下牢とだけ言っておこう。今君の身柄は憲兵団が受け持っている。君が目覚めたと連絡が入りなんとか面会の許可が下りた。」
「………」
自分が気を失ってからの3日間の時系列は頭に入ったが、エレンの疑問は当然それだけではない。
「こ、これからどうなるんですか?あと、オレと一緒にいた訓練兵は…?!」
真っ先に気を揉んだのはミカサとアルミンの事だ。
ミカサは砲撃しようとする兵士の前に出て抵抗の意を見せ、アルミンは自分を庇い自分の存在価値を説いたのだ。
当然お咎め無しという訳にはいかないだろう。
すると、エルヴィンはその質問にも対してもきちんと答えてやった。
「ミカサ・アッカーマンとアルミン・アルレルトの事だね?彼らには昨日話を聞いたよ。あの2人以外にも君の過去を知る者全てが審議にかけられた。」
「審議に…」
やはりそうか。
エレンは2人が尋問を受けている様子を思い浮かべると、そのまま俯いてしまった。
すると、エルヴィンはジャケットの内ポケットから1つのカギを取り出すと、エレンの前に出し見せてやった。
「これから我々がする事は、あまり今までと変わらないな。」
「あっ、そのカギは……っ!!」
エルヴィンの握られているカギが目に入るとエレンは勢いよく身を乗り出したが、自身の手に繋がれていた鎖が邪魔をして、ガシャンと大きな金属音を立てる。
「あぁ、君の持ち物だ、後で返すよ。君の生家、シガンシナ区にあるイェーガー医師の家の地下室、そこに巨人の謎がある。これに間違いはないね?」
「はい…おそらく…父がそう言ってました。」
「お前は記憶喪失で親父は行方知れず…随分都合のいい話だな…」
「リ…ヴァイ兵長…」
リヴァイは少し痺れを切らしたのか横から口を挟んできた。
「リヴァイ…彼が嘘をつく理由はないとの結論に至ったはずだ。」
「…チッ…」
確かに昨夜の会議ではそういう結論に至ったがリヴァイはまだエレンの全てを信じているわけではなかった。