第48章 嫌疑と再会
ー翌朝ー
クレアはリヴァイと2人で食堂に来ていた。
まだ時間が少し早かったせいか、座席も結構空いている。
「こ、これが憲兵団の朝ごはん…!」
食堂の職員から次々に出されるメニューをクレアはあたふたしながら受け取りトレーに置いていく。
パンはバターロール、デニッシュ、トーストの中から好きなものが選べ、それに合わせてチーズやベーコンなどが配膳された。
スープもコーンやコンソメなど好きなものが選べて、調査兵団の食事とは雲泥の差だった。
「すごい……」
席に着くと思わずため息が漏れ出てしまう。
調査兵団の朝食といえば、バケットにコンソメスープ、温野菜など、ほぼ毎日同じメニューだ。
そしてさつまいもの甘煮が出ると女兵士を中心にテンションが上がってしまうという極めて低レベルな食生活だった。
「まぁ、これだけ予算に差があるって事だ。帰ったら食えない物ばっかりだからな。食いたいだけ食っとけ。」
「え?おかわりもできるんですか?」
思わず中腰に立ち上がり向かいに座っていたリヴァイに聞き返すクレア。真剣な眼差しだ。
「選べる程あるんだ…食いたいなら貰ってこい…」
「なんて贅沢な…」
リヴァイから夢の様な話を聞くと、クレアはバターがふんだんに使われたデニッシュパンが気に入った様で何度も席を立ち貰いに行った。
今立ち上がったのでいったい何回目だ…
リヴァイは以前にベリーのタルトを頬張っていた時の事を思い出す。
そして、そんな事を思い出していたらクレアがまた席を立った。
「おい…食えるならなんでまとめてもらってこないんだ。非効率的だろ…」
しかし、クレアはその言葉が気にくわなかったのか、ムキなり言い返してきた。
「ま、まとめて貰うなんて…!そ、そ、そんな恥ずかしい事できませんよ!!」
「……そうかよ…」
クレアはそう言ってクルリとリヴァイに背を向けまたパンを貰いに行った。
リヴァイからしてみたら何度も貰いに行く方が恥ずかしいのではと思ったが、相手は奇行種クレアだ。
リヴァイは黙ってその後ろ姿を見守った。
すると、食堂の入り口がなんだか急に騒がしくなり、とある人物が飛び込んで来た。