第48章 嫌疑と再会
近づいて行って顔を覗くと、枕を抱きしめながら広いベッドの隅で縮こまるように眠っている。
只でさえ小さな身体がますます小さく見える。
しかしその寝顔はとても穏やかで、繰り返される寝息は何故だかリヴァイの昂ぶった熱を鎮めていった。
「はぁ……」
リヴァイは2度目のため息をつく。
こんな顔を見せられてしまっては無理矢理起こす事もできない。
どうにもこうにも敵わないクレアに思わず悔しさを覚えてしまうが仕方ない。
リヴァイはシャワーを浴びると、自身もすぐにベッドに入った。
「…………」
ぐっすり眠っているのか身じろぎ1つしないクレア。よっぽど疲れていたのだろう。
トロスト区内の巨人の掃討が終わったと思ったら、いきなり憲兵に内地まで連れてこられ、わけも分からず審議をされた。
疲れるのも無理ないだろう。
リヴァイ自身もそうだった。
ミケがトロスト区へ向かって行く巨人の群れを感知したため、壁外調査は中断となり急いで壁内まで戻った。
戻ったはいいが、壁門は破壊されている上に何かで塞がれていて中に入れない。
立体機動で壁を飛び越えるとそこにいたのはボロボロになったエレンと、エレンを抱えた2人の訓練兵だった。
そこからは前代未聞の出来事に、クレアの安否を確認できないままエルヴィンと共に緊急会議で、無事な顔を見る事もできないまま今日に至ったのだ。
リヴァイもベッドに横になると、途端に疲れと眠気が込み上げてきた。
小さな身体を抱きしめると心地良く香るキンモクセイ。この香りはリヴァイの疲れた身体を優しく癒やす時もあれば、激しく情欲を駆り立てる時もある。
今は心地良くリヴァイの疲れを癒やす効果を発揮したようだ。その証拠に、リヴァイはクレアを抱きしめると、自然と身体が重く、瞼も重くなってきた。
キンモクセイの香りも、クレアの温かい体温も、溶けてしまいそうな程心地が良い。
リヴァイは気づいたら意識を手放していた。
「……ん…んん…リヴァイ…へい…ちょう……」
そのためクレアが呟いた寝言がその耳に届いていたかは不明だった。