第48章 嫌疑と再会
「……はぁ…」
リヴァイはあてがわれた部屋に戻るため長い廊下を歩いていた。
それと同時に漏れるため息。
様々な事が話し合われた。
エレンやエレンの同郷の証言の信憑性。
エレンの生家の地下室で眠っていると思われる巨人の秘密。
巨人化したエレンが破壊された穴を塞いだ事実。
今回の大型巨人によるトロスト区壁門の破壊により、今まで大勢の命を犠牲にして作られたウォール・マリア奪還までのルートが一切意味を成さなくなってしまった事。
巨人が巨人を倒した信じがたい出来事。
これからの新しいルートについて。
多岐に渡る話し合いで、まだ詰めきれていない事が山程だった。
誰が巨人化する人間がいるなど想像できただろうか。
誰もが考えられなかった事が突然起きたのだ。
たった数時間の話し合いで結論が出る訳などないのだ。
これからは通常の訓練や執務に加え、巨人化する人間についての話し合いや会議が増えるのかと思うとなんとも頭の痛い話だ。
ひとまず今日は、行われた審議の内容やエレンの一連の行動により、彼が嘘をつく理由は無いはずだという事で結論が出されたが、リヴァイは直接エレンと会って話をするまでは納得などできなかった。
「ったくいつまで寝てやがるんだ。地下牢がそこまで寝心地いいとは思えないんだがな…」
リヴァイはそうボソリと呟くと、やっとの事で部屋の前まで辿り着いた。憲兵団の兵舎は、調査兵団の兵舎よりキレイなだけではなく、広さもまったくの桁違いだった。
「…………」
クレアはまだ起きてるだろうか。
無事の再会に安堵し、クレアをこの腕で抱きしめ、唇を重ね、下半身の熱が高まり出した所でまさかの呼び出しだった。
リヴァイは正直な気持ち、クレアに起きていて欲しかった。熱を燻らせた身体を持て余し、どうにもならなくなった視線で自身を迎えて欲しかった。
ーカチャー
しかし扉をあけ、リヴァイの目に飛び込んできたのは、ベッドの中で規則正しい寝息をたてているクレアの姿だった。