第48章 嫌疑と再会
しかし、論点はそこでは無いのだ。
あそこまで無理矢理クレアを連れてきたにも関わらず、何故部屋がちゃんと用意されてなかったのか。
憲兵のそんなずさんで横柄な対応に、ハンジもエルヴィンもミケもモブリットも怒りを覚えたのだが…
怠慢な憲兵に対して1番怒りを表に出しそうなリヴァイが、至って涼しい顔だ。
決して口には出さないが
ーもっともな理由でクレアと2人きりになれるのなら誠に結構ー
と言いたげな表情。
そんな事を考えてるのがダダ漏れだった。
「はぁ…まぁ仕方ない。近くに宿をとってやりたくてもクレアは兵団幹部の監視下。その我々もエレンに何か動きがあれば夜中でも審議所に向かわなくてはならない。」
エルヴィンがやれやれとため息まじりに話す。
「って事は、全員ここに寝泊まりしなくちゃならないんだろ?なら仕方ないだろ。こんな所で文句を言っても部屋は空かねぇんだ。とっとと行くぞ。」
すると、リヴァイはハンジ達を置いて引きずるようにクレアを連れて行ってしまった。
背後からクスクス笑い声やらため息やらが聞こえてくるが、全く気に止める様子もない。
「ほら、入れ……」
「は、はい…!!ですが兵長…こんなのって…」
リヴァイの部屋に辿り着くと、グイグイと部屋に押し込まれた。
いくらエルヴィン達が2人の関係を知っているからと言っても、流石に男女で同室は公私混同ではなかろうか?クレアはハラハラと挙動不信になってしまう。
「へ、兵長…?キャッ!キャア!!」
クレアはそんなリヴァイに意見を言おうとしたが、荷物をソファに置いて振り返ったリヴァイは黙ったままクレアを抱き上げると、問答無用とばかりにベッドに放り投げた。
スプリングのきいた立派なベッドがクレアの体重で軋むと、一度ポンッと弾んでからその身体を包みこむ。
部屋の造りは置いてある家具の1つ1つ、カーテンやシーツの布地、備え付けの備品に至るまで、古い調査兵団の客室とは全く違っていた。