第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
各馬の特徴は昨日全て頭に叩き込んだのだ。今日のクレアに、迷いや不安はなかった。
クレアの気持ちが馬にも伝わったのだろうか、今までの戸惑った様子がみられない。
次々と調教をこなし、乗り換えていくと、他の班員も続々と騎乗を始めた。
「クレアー!すごい!今日はいい感じじゃん?」
「悪くねぇな…」
ハンジとリヴァイが馬上から声をかけた。
「あっ!ハンジさん!兵長!なんとなく今日は違う感じがします!」
「お前に不安や迷いがなくなったからな…その調子なら壁外調査までに間に合いそうだな。」
「ハンジさん!兵長!本当にありがとうございました!壁外調査までにムチと拍車を外せるように頑張ります!」
クレアは最高の笑顔を2人にむけると、丘の上まで最高速度で駈けていった。
馬の反応も申し分ない。
ハンジもリヴァイもクレアのモチベーションがまた上がり始めたのを確認でき、少し安堵したようだった。
一通りの運動を終え、手入れをしていると、隣で馬にブラシをかけていたペトラに声をかけられた。
「ねえ、クレア。昨日リヴァイ兵長、午後の訓練外してたんだけど、もしかして一緒にいたの?」
「は、はい……ペトラさんもご存知だったと思うのですが、私身体が小さいせいか、予備馬の騎乗がなかなか上達しなくて……昨日は兵長に資料室の馬手帳を見せてもらって、座学で色々乗り方の指導をしていただきました。その成果があったみたいで、なんとか壁外調査までに間に合いそうです!」
「そうだったんだ。兵長、珍しいな……」
「珍しい……ですか?」
「うん、他の班の班員の面倒をつきっきりでみるなんてこと、今まで無かったからなぁ……もしかして兵長、クレアに気があったりしてー。」
ペトラが意地悪に笑った。
「そ、そ、そ、そんなありませんよ!昨日はたまたまハンジさんが午後の訓練の指揮で忙しかったからですって!」
ブラシを持った手をブンブンと振り、否定をするが、何故かクレアの顔は真っ赤だ。
「そうかなー。」
「そうですよ!だって私のこと、奇行種って呼ぶんですよ!ありえないですって!」
「奇行種!?フフッ……兵長面白い…」
「もぉ!ペトラさん!全然おもしろくないです!」