第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
翌朝、訓練開始の時間と同時に、予備馬当番の馬房掃除も始まった。
今日はリヴァイ班の5人と、ハンジ班の3人での作業だ。
2ヶ月もたつと、身体も慣れ、各作業もテキパキとこなせる様になっていた。
初日に味わったあの地獄の筋肉痛も今ではすっかり出なくなった。
掃除が終わると、ハンジが次々に指示を出していった。
「クレアー!今日は新兵クレアしかいないから、乗れる馬から乗っていってー!こっちが済んだら私達も乗るからね!」
「はい!わかりました!」
クレアは今日騎乗予定の馬を出そうとした時に、突然背後から、不機嫌なオルオに声をかけられた。
「おい、チビ新兵、壁外調査の日程も決まったんだ。ちゃんと馬には乗れるようになるんだろうな。」
首席で卒業し、立体機動の腕前もピカイチのクレアに、何故かいつもオルオはからんできた。
「ご、ご迷惑おかけしてすみません!なんとかできるよう兵長からのアドバイスも頂いてますので…」
「ちょっと!オルオ!なんでいっつもクレアにつっかかるのよ!」
助け船をだしてくれるのはいつもペトラだった。
「ペトラさん!すみません!」
「だいたい、立体機動の腕が良くても馬に乗りこなせなければ……っガリッ!………」
厩舎の通路の真ん中でペラペラ喋っていたオルオは、モブリットに引かれていたウーランの腰がドンと背中にぶつかり、見事に舌を噛んでしまった。
「ぐぉぉぉぉぉ……!」
「こんな通路で新兵イビってるからよ。ウーランに蹴られて死ねばよかったのに……」
ペトラの辛辣なツッコミがはいった。
「ほらっ!クレア!今のうち、連れてきな!」
「す!すみません!ペトラさん、感謝します!」
クレアはそそくさと蹄洗場に移動した。
馬装をしながら壁外調査の事を考えた。
今朝食堂では、壁外調査の日程が決まったという話題でいっぱいだった。
もちろんクレアもハンジから聞いていたが……
来月、7月の中旬に決定したとのことで、あと約1ヶ月だ。
それまでに、立体機動も、馬も、できる限りのことをしなくてはならない。
余計に気合を入れなくては。
今日の1頭目はテンション高めの雄馬だ。馬体も大きい。しっかり拍車をつけ、ムチをもって騎乗した。