第48章 嫌疑と再会
つまりは、エレンとミカサが一緒に暮らすようになってからは1度しか会っていなかったと言う事だ。
そうなると、エレンとだけ過ごした時間が複数回記憶として存在していることも、エレンとおなじ年のミカサとの記憶が1度しかない事にも合点がいく。
それに、クレアは彼らも自分と同じ訓練兵団に進んでいた事にも非常に驚いた。
「な、なんか色々と驚いてます。エレンやミカサの事を、思い出したのもそうですが…彼らも訓練兵団に入っていたなんて…同じシガンシナ区出身ならきっと訓練兵団も同じ所ですよね?1年は一緒だったはずなのに全く気づかなかったなんて…」
そう、クレアは102期。エレン達は104期。
クレアは15歳で入団したため、彼らとは5歳の年齢差があるが、訓練兵団では1年一緒の兵団に所属していた事になる。
「まぁ、訓練兵も人数多いし、基本的に訓練は横割りで行われるから無理もないよ。宿舎も学年毎に別れてるし、うまい具合にすれ違っていたんだねきっと。」
「はい……」
壁門の破壊に、自分にかけられた嫌疑に、巨人化した少年。
それは、幼き頃何度か共に過ごした少年だった。
それは、亡き父の尊敬していた医師の息子だった。
沢山の事が起こりすぎて、流石のクレアも軽く頭痛を覚えた。
「あ、あの…団長達は、その…見たんですか?エレンが巨人になる所を…私はまだ信じられません…人が…巨人になっただなんて…」
「いや、私達は巨人化する所は見ていないんだ。だが、トロスト区の壁門の穴を岩で塞いだ後の残骸は確かに確認した。補給所で立ち往生していた所を巨人化したエレンが次々に他の巨人を討伐する姿もその場にいた訓練兵が見ていたし、項からエレンが出てきた姿も大勢の兵士達が目撃している。人間が巨人化したという事は嘘偽り無い事実の様だ…」
「そうですか……皆さんは、もうエレンと直接話をしたんですか?」
「いいや…うまくいけば明日面会の許可が下りるかもしれないが…」
エルヴィンの話だと、今は審議所の地下牢で眠っているとの事だったが、面会後の予定はまだ未定な様だ。