第48章 嫌疑と再会
ハンジの提案にエルヴィンは少し考え込むが、すぐにいつもの爽やかな笑顔を5人に向けた。
「そうだな…また明日はどんな忙しさが待っているか分からない。今夜くらいしか外食はできなさそうだからハンジの提案に乗ろう。」
「やったねクレア!内地のレストランで外食だ!憲兵団の食堂も調査兵団と比べると断然豪華なんだけど、それは明日も食べれるから、今夜はエルヴィンにゴチになっちゃおう!!」
ハンジ達一行はストヘス区の憲兵団兵舎の客室をあてがわれていたため、食事は食堂でも食べられる。
しかし、せっかくの機会だからとハンジのした提案が見事に通ったようだ。
しかもエルヴィンの奢りで。
6人分の食事を内地のレストランでご馳走は、少々懐が痛かったが、ここは団長エルヴィン・スミス。
内心複雑だったが、紳士な笑みで対応すると、6人は夕食をとりにレストランへと向かった。
6人でこうして食事をするのはリヴァイの誕生日ぶりだった。あの時はトロスト区の賑やかな酒場だったが、今日は内地のレストラン。
クレアは父の付き添いでシーナに屋敷を構える貴族の家には何度も行った事があった為、このような敷居の高いレストランも初めてではない。
しかし、久しぶりの雰囲気に少し緊張してしまったため注文は全てリヴァイに任せてしまった。
注文してすぐにドリンクが運ばれてくる。
ハンジが遠慮の欠片もなく注文した高級な酒が其々のグラスに注がれると、ハンジは目を輝かせながらウズウズしだした。
そして、今までに色々と失敗をしてきたクレアの前には、強制的にソフトドリンクが置かれる。
今日は嫌疑をかけられていた上にまだ兵服だ。
前回の様に酔っ払い、人前で踊り出されたらたまったものではないと、断固としてリヴァイが酒を許さなかった。
そして、十分にその自覚のあったクレアも、今日は素直に飲酒を控えた様だった。
その上、ぬかりなく座席もハンジとクレアは対角線上になっている。
これで、酒を混ぜられる事もないだろう。
油断は禁物だがひとまずこれで大丈夫だろうとリヴァイがひと息つくと、エルヴィンがささやかながら乾杯の音頭をとった。