第48章 嫌疑と再会
超大型巨人の再来に壁門の破壊。
巨人化した人間。
その真相が眠っているというウォール・マリア、シガンシナ区のエレンの生家の地下室。
真相を握ったまま行方の分からないグリシャ・イェーガー。
そして自分に向けられた嫌疑。
あまりにも衝撃的すぎる出来事にまだ頭は混乱状態だが、今すべき事は自身の身の潔白を証明する事だろう。
でなければ、自分という存在はエルヴィン達に迷惑をかけるどころか、全人類の敵となりかねない。
「そんな事実があったとは…知りませんでした。ですが、私の父は高い外科技術は持っていましたが、生活の苦しい民間人の治療にはお金をとってませんでした。なので、我が家は決して裕福ではなく、とても巨人の秘密を解明できるような研究なんて、できる余裕などありませんでした。それに我が家には地下室はありません。秘密裏に何かをする事なんて不可能です。」
しかしザックレーも、クレアの証言を何の裏付けも無く信用する訳にはいかない。
「では、君の両親の遺体を誰も確認していない件についてはどう説明するつもりだい?」
「それは、私がこれからも調査兵として戦うことで、人類の敵では無い、何も隠している事は無いと証明し続けていきます。現に私の事を調べ尽くしている総統ならもうご存知かと思います。私が入団してから今までの戦果を…討伐数を。それを見ていただければ少なくとも巨人の味方で無いことは分かって頂けるかと…」
「うむ……」
クレアの言う通り、ザックレーの手元の資料にはクレアの個人情報から生い立ち、両親の事から戦績まで事細かなにまとめられていた。
その資料に記載されていたクレアの戦績…
クレア・トート
討伐、多数 討伐補佐、多数
いちいち数などカウントしていられない程の巨人を、クレアは今までの壁外調査では討伐してきた。
クレアがどれだけ命懸けで壁外調査に臨んでいたか…
それはこの記録を見れば、一目瞭然だろう。