第48章 嫌疑と再会
「ここで待ってろ!」
扉の前で待機を命じられる。
この扉の向こうでは別の人物が尋問されている様だ。
そして、30分ほど待つと、扉が開き2人の兵士が出てきた。
ジャケットを見ると剣の紋章…
訓練兵だ。
間もなく卒業の104期だろうか…
チラリと見ると、キレイな金髪の少年と、スラッとした黒髪の少女だった。
「…………っ!!」
黒髪の少女がクレアの顔を見ると、驚いた様に何かを言いかけたが、2人についていた憲兵によって、引き離されてしまった。
「??」
「ホラッ、早く中に入れ…」
クレアは振り返りながらも自分を見つめている黒髪の少女が気になったが、考え事をする時間も与えてはもらえず、背中を押されると審議所の中へ強制的に入れられた。
ーバタンッー
無慈悲に扉が閉まると、クレアは放り込まれる様に審議所の中へ入った。
「………っ!!」
中に入り、まず1番に目に入ったのは今から自分が尋問を受けるであろう囲いだ。
胸の下あたりのまでの囲い。
この中に今から入れられるのだろう。
次に目に入ったのは真正面に掲げられた各兵団の紋章に、大きな窓。
そして、ザックレー総統と思われる人物。
窓からは眩しい程のオレンジ色の夕日が差し込み、逆光で総統の顔はよく確認できなかった。
「ホラッ、この中へ入れ。」
見張りの憲兵に取り上げられる様に荷物を没収されると、クレアは檻みたいな囲いの中へ、入れとドンと背中を押された。
「キャッッ!!」
不意打ちに押されたため、身体の小さなクレアは囲いに倒れ込むように膝をついてしまった。
なんて扱いだ…
クレアはハンジの班に配属したいがために、当時教官だったキース・シャーディスには“ハンジに心臓を捧げたい”と公言をしたが、だからといって人類に何も貢献してこなかった訳ではない。
人類のために巨人と戦い、戦う兵士を1人でも失わぬよう必死に手当をし、兵団のために資金も作ってきた。
何故この様な扱いを受けなくてはならないのだ。
クレアの頭の中は沸々と怒りを燻らせていた。
しかし、擦ってしまった頬をジャケットの袖で拭い、起き上がろうとすると、思わぬ人物と目に飛び込んできた。