第47章 悪夢、再び
「ご、ごめんね!勝手に年下扱いしちゃって…」
「い、いえ…いいんです。そもそもこんな見た目ですし、それに、年が一緒でもペトラさんが先輩兵士である事には変わりませんので…」
「そうかもしれないけど、なんか年が同じだと親近感わいちゃうな。私の同期は年同じ人多いけど、仲の良かった女の子はみんな亡くなっちゃって…それに、リヴァイ兵長の班に配属されてからはオルオ達と一緒の時間が殆どだったから…割と話す機会の多かったクレアが同い年だって聞いたらなんか嬉しくなっちゃった。」
「ペトラさん…あ、ありがとうございます…」
「やだ、もう年同じなんだから敬語はやめてよ。」
「そ、そんな訳にはいきません!!年は同じかもしれませんが…ペトラさんは、先輩兵士ですので…」
「律儀だなぁ、クレアは。じゃあ、少しずつでいいから敬語はやめて?」
「そ、そんなぁ…」
「先輩命令だぞ?これなら聞けるかい?」
「えぇ??……キャッ!!」
ペトラは悪戯に笑うとクレアの額にデコピンをした。思わず手のひらで額をおさえるが、屈託の無いペトラの笑顔に胸がジンと熱くなるのを感じるクレア。しかし、不意打ちのデコピンに目を白黒させていると、話題は思わぬ方向に急展開をしてしまう。
「アハハ、可愛い。リヴァイ兵長がクレアに夢中になるの、わかる気がするな。」
「そ、そ、そんな事は決して……」
急にリヴァイが話題に出てきて、恥ずかしくなったクレアは咄嗟に否定の言葉を口にするが、ペトラは、リヴァイがどれだけクレアを想っているのか十分すぎる程知っている人物の1人だ。
仏頂面で、もともと感情の読みにくいリヴァイだが、決して冷徹ではない。
それにいつも不機嫌そうな顔をしているが、仲間想いで、兵士想い。しかし、男女問わず誰か1人を特別扱いする事など今までなかった。
だが、クレアにだけは違ったのだ。
自身の部屋の掃除を命じ、騎乗訓練で落ち込んだ時にはつきっきりで指導をし、初陣の後には感情をあらわにしてクレアの怪我を心配した。