第47章 悪夢、再び
「…………」
もうこんな反応も慣れたものだったが、クレアは間もなく20歳になるのだ。17歳にも見られていなかったのかと思うと、この自身の容姿を恨み、心の中で盛大なため息をついた。
こんな風に自身の容姿を恨むのは何度目になるだろうか…
いや、もう何度目だったかなどいちいち数えてられない程だという事は確かな様だ。
「あ、あの…私…こんな見た目ですが、今19歳です。来月の誕生日で20歳になります。」
「え……?」
ペトラには衝撃的な事実だったのだろう。あんぐりと口を開きかたまっている。
「私の家はシガンシナ区で病院を営んでおりましたので、成人後は私も医者として働き納税をするつもりでいたんです。なので、訓練兵団や開拓地に行くという選択肢は無くて、学校に通う傍ら医者としての下積みをしておりました。ですが、845年のシガンシナ区の襲撃で両親が亡くなってしまい…まだ私は15歳だったので、税を納める能力はなく、与えられた選択肢は訓練兵団か開拓地かの2択でした。当時の私には公に心臓を捧げる覚悟などありませんでしたが、開拓地に行くという道はどうしても考えられなくて、消去法で訓練兵団に入団する事になったのです…そのため私は最年少で入った102期よりだいぶ年上になります……」
「え!えぇ?!19才?え、え?来月20歳?嘘でしょ?!」
「えと…すみません…嘘ではないんです…やっぱり…驚きますよね…」
「ごめん…驚いた。うん…本当に驚いちゃったよ。見た目と年齢のギャップはもちろんだけど…私と同い年だった事にも驚いた…」
「えぇ!?ペトラさんと私が…ですか?」
まさかの展開に今度はクレアが驚いた。
「私、12歳で訓練兵団に入った100期だから今19歳。で、今年の12月の誕生日で20歳になるんだよ。だから…細かい事を言ってしまうと、私の方が半年くらい年下になるね…」
苦笑いしているペトラにつられ、クレアも苦笑いをすると、しばしの間沈黙してしまった。