第47章 悪夢、再び
「そ、そうなんですか…明日の私は、今ローゼに避難させている馬達の回収です。ペトラさんは…?」
「私はトロスト区内の遺体の回収と火葬。冬と違って気温も高くなってきてるから、遺体処理班は早朝から集合なの。だから今夜は早く寝ないと…」
壁が破壊されてからは巨人の掃討が第一優先だったが、気温が高くなりだした春先だと遺体が腐敗するスピードもおのずと早くなる。
そうなっては感染症などの2次災害が起こりかねない。
その為、遺体処理班は早朝から作業に取りかかる様命じられていたのだ。
「そうだったんですね…ペトラさん、今日は1日ずっと討伐だったのに、明日の朝も早いなんて…」
「心配してくれてありがとう。でもクレアだって同じじゃん。今日はずっと一緒に討伐担当だったし、明日は馬の移動でしょ?きっと何往復もするだろうからそっちも大変だよ?体調崩さないようにね!」
「あ、ありがとうございます……」
眩しい程の笑顔で励まされてしまうと、どうしたって思い出してしまうのはフレイアの顔。
ペトラは髪の色、目の色、身長に至るまで、見た目はフレイアとは全く異なるのに、いつでも明るく気さくに話しかけて励ましてくれる所はフレイアとそっくりだった。
後ろを振り向くつもりなどないが、その優しさに少し胸がざわついてしまったクレア。
するとペトラはクレアの顔を覗き込み意外な事を聞いてきた。
「ねぇ、クレアって102期だけど…年って…何歳なの?」
「えぇ?年ですか??」
予想もしてなかった質問に少し驚き思わず聞き返してしまった。
「ご、ごめん!!クレアってなんかお人形さんみたいに可愛いから全然年齢分からなくて…でも最年少の12歳で訓練兵団入ったなら今は17歳のはずでしょ?でもごめん…正直17歳には見えなくて…それに新兵でいきなりハンジさんの班に配属だったから、兵長みたいに何か特別な理由で調査兵団に入ったならもっと若いのかなぁと…思ってしまったんだけど…」
ペトラは聞きづらそうにしているが、その投げかけられる言葉はズバズバとクレアの胸に刺さった。