第47章 悪夢、再び
そして、日没と同時に捕獲した巨人は小さな杭のついたワイヤーの網で巻かれ、更には遮光の布を被せられ、動かなくなったのを確認すると、ようやくトロスト区の兵舎に向かう準備が整った。
「ハンジさん!巨人の姿は見られませんでした。」
「ハンジさん!こちらも大丈夫です。」
「よーし、これで全員かな?」
すると、同時に再度巨人が残っていないか、ここにいた全兵士によってくまなくチェックをされると、次々とハンジに報告が入ってくる。
全ての兵士により巨人ゼロの報告を受けると、丸一日かかったトロスト区内の巨人掃討作戦はやっと完了となった。
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「はぁ…疲れた…」
クレアは丸一日ぶりに、兵舎の自室に戻ってきていた。
ハンジは巨人の捕獲に鼻息荒くしすぐに実験を始めようとしたのだが、流石にモブリットの制止が入り、被験体になった巨人は、今日避難所待機で馬の面倒をみていた兵士達によって交代で見張りがつけられた。
そのためクレアは一旦部屋まで戻る事が許されたのだ。
朝から夕方まで討伐をしていて身体はクタクタだった。壁や家屋を使った立体機動には好条件での討伐だったが、だからといって疲れないわけでは無い。
クレアはバタンとベッドに倒れ込む。
ハンジはブーブーと文句を言いながら被験体の実験計画書を作ると言い執務室へと走って行ったが、ハンジは緊急招集で昨夜から内地にいたはずだ。
しかし、朝一で巨人捕獲の許可がエルヴィンからでたため、トロスト区まで飛んできたのだろう。
それでも今すぐにでも実験を始めたいとゴネるハンジ。クレアはその底無しのパワーに感服だった。
やはり奇行種と呼ばれるのはハンジがぴったりなんじゃないのかと、ふと今は遠い内地にいるリヴァイを思い浮かべながらクレアは心の中で呟いた。
「リヴァイ兵長…」
クレアは今回のゴタゴタのせいで、最後にリヴァイと会話をしたのは昨日の朝が最後だった。
それを最後にまともに顔を見ていなければ声も聞いていない。
リヴァイが生きている事は確かなのだからなにも心配はいらない。
しかし何も分からない事だらけの今、不安でいっぱいだったクレアは自然とリヴァイを恋しく想ってしまい胸がキュンと痛んだ。