第47章 悪夢、再び
「本当はでっかい巨人捕獲したいんだけど、やっぱり扱いが大変だからね。そうなると、7〜8m級が精一杯かな?」
「分隊長!!こんな状況です。選ぶなんて不可能に近いかと…」
「なんだよ!消極的だなぁモブリットは。選ぶのが不可能なら、選べる様に、捕獲対象外の巨人からさっさと討伐しちゃえばいいんでしょ?クレア〜!お願い!?協力してー!!」
「で、ですが…」
「じゃあ、私はでっかい巨人から中心に片付けていくから、モブリットは捕獲装置の点検と準備、頼んだよ!」
「ぶ、分隊長!!」
止めようにも時既に遅し、ハンジは意気揚々と壁の下へと急降下すると、クレアとペアを組んで、10m級以上の巨人を中心に討伐に入ってしまった。
「はぁ…まったく、あなたって人は……」
今朝のハンジは朝から興奮状態だった。
なんとしても巨人を生け捕りにしたいと、朝一エルヴィンに直談判をして、生け捕りの重要性を説いた。
周りからは駐屯兵団の幹部を中心に、“この非常時に”と野次を受けたが、エルヴィンはふと“ある物”を思い出したのだ。
それは、昨年の3月。
クレアが行方不明になった森で拾ってきた持ち主不明の貴重な戦果。
あの手帳に記された内容を忘れた訳ではない。
それを思い出したエルヴィンは、通常の壁外調査ではなかなか実現する事のできなかった捕獲作戦の許可を出したのだ。
すると、ガッツポーズと雄叫びを上げ、会議室を飛び出したハンジ。
そして今に至る。
モブリットはこの非常時でも、あのテンションでいられるハンジに言葉では言い表せない程の感心を抱いた。
そして、言いつけ通り、壁上固定砲の爆音が鳴り響く中、捕獲装置の点検を入念に行った。
そして、少し日が傾きかけた頃、大分戦滅の目処が立ってきた。
明らかに朝とは壁に群がる巨人の数が減ってきていたのだ。