第47章 悪夢、再び
クレアはハンジとモブリットが緊急会議に出ていたため、エルドの指揮下に入り討伐をしていたのだが、昼を少し過ぎた頃、遠方から叫び声を上げてやってくる兵士が1人。
それは、クレアのよく知る人物であった。
「おーーい!みんなー!待ってよ〜!」
「分隊長!…少し落ち着いてください!」
この非常時に、場にそぐわないなんとも高揚した叫び声を上げながら壁の上を走ってくる。
「ハンジさん?!」
クレアはハンジとモブリットの姿を確認すると、立体機動を使って急いで壁を登った。
「あっ!クレア〜!討伐状況はどう?」
「あ、えと…駐屯兵団の壁上固定砲を中心に討伐をしております。おそらく夕方には全て戦滅できるかと…それにしてもハンジさん、会議ではなかったのですか?それにこれは…」
2人の後ろには、数名の駐屯兵と思われる兵士が台車に何やら荷物を積んでハンジの後を着いてきた様だ。
「エルヴィンの許可がおりたから、来たんだよー!」
「団長の許可…ですか?」
「やっとだよ、やっと!この機会に巨人を生け捕りにするんだよ!」
「え?えぇ?!」
「壁の内側に追い詰めた巨人に的を絞ってこのワイヤーと杭を使って捕獲するんだ。でも、捕獲するには、周りの全ての巨人の掃討が確認できないと出来ないからね。それまでは捕獲装置の準備をしがてら、討伐も手伝うよ!」
「そ、そんなに上手くいくんですか?」
「上手くいくかどうかより、“やる”んだよ!通常の壁外調査では、長距離索敵陣形で動くから中々捕獲までは作戦に入れられないけど、この壁の内側にまで追い込んだ巨人ならなんとか生け捕りも可能になってくる。こんなチャンス、滅多にないからね!エルヴィンの許可がおりたって訳!」
「わ、分かりました…ですが捕獲作戦を実行するには巨人の数が多いです。まだ少し時間が掛かりそうなので、待っていて下さい!」
「準備ができたら私も討伐入るから!おーい!みんなぁ!最後に巨人生け捕りしたいからちょうどよさそうなのは残しといてー!」
ハンジは壁上固定砲を撃っている駐屯兵団に声をかけるが…
「ハンジか?!そんな都合のいい事できるか!無茶言うんじゃねぇ!」
年配のベテラン駐屯兵に一喝されてしまう。しかしハンジはまったくひるまなかった。