第47章 悪夢、再び
「そしたらクレアもガスと刃補充して急いで準備をして。デイジーの準備はできてるから。」
「わ、分かりました!!」
クレアは大急ぎで荷物を片付け補充を済ませると、デイジーに跨り全速力で走り出した。
トロスト区の門が破壊され、内門までやられてしまえば人類は生活領域を、ウォール・シーナまで後退する事になってしまう。
だがしかし、今生存している人間の全てをウォール・シーナ内に収めることは現実的に不可能だ。
そうなれば、想定される事は飢え死にか人間同士での略奪や奪い合い。
そんな事、絶対にあってはならない。
とにかく今は1分でも早くトロスト区に帰還しなければ…クレアの中により一層の緊張が走った。
トロスト区から1番近い市街地をぬけると、遠目からトロスト区の門が見えてくるが、なんだか様子がおかしい。
「あれ?ハンジさん…みんな立体機動で壁を登っています。」
「え?なんでなんで?いったいどうしたのさ?」
それによく見ると巨人達が壁の周りに張り付き蠢いている様に見える。
異様な光景だ。
すると、いよいよトロスト区の門が見えてきた。
「分隊長!あれは!?」
「なんだあれは……!!」
モブリットの指さす方を見ると、トロスト区の門には大きな破壊跡があるが、何かで塞がれており、壁の周りにいる巨人達は中には入れない様だった。
「ハンジさん!!!」
すると、門の方からエルドが馬を走らせてハンジに向かってきた。
「エルド!いったいこれはどういう事?この状況がわからない!」
「我々もまだ分かりません!ですが、何者かによって破壊されたトロスト区の門が、何者かによって塞がれたそうなんです。リヴァイ兵長が今現場に向かっていて、ここでの指揮は私が任されました。門が使えないので、馬を一旦待機させて、兵士は立体機動で壁を登る事になります。なのでハンジさん、全調査兵が壁の上まで登れるよう、ここで巨人の討伐をしてリフトが到着するまでの間、援護をお願いできませんか?」
「なんだって?」
エルドの説明に驚きを隠せないハンジだが、驚き戸惑っている時間などなさそうだ。