第47章 悪夢、再び
ー4月某日ー
いよいよ壁外調査の日がやってきた。
夜営のシュミレーションや、資金の都合で延期延期になってしまっていた壁外調査だったが、やっと本日執り行われる事になった。
不安材料が全て解決した分けではないが、数日後には104期の新兵が入ってきてしまう。
そうなると新兵の初陣に向けての訓練が始まってしまうため、このタイミングでしか壁外調査をくみこめなかったのだ。
果たして皆無事に生きて戻ってこれるだろうか。
それは誰にも分からない。
クレアはいつもより少し不安な気持ちで開門の合図を待った。
「クレア、大丈夫?」
「あ、ハンジさん…今夜は壁外で一夜を過ごすんですよね。やはり緊張してしまって…」
「だよね、ここに戻ってこれるのは明日なんだもん。色々シュミレーションもしたけど、その通りにいかないのが壁外調査…なんか慰めになる様な事言えてないけど、とにかく行ける所まで行ってみよう!!壁外調査が終われば104期の新兵も入ってくる!私達に悩んでる暇は無し!…ね?!」
ハンジはクレアの頭を撫でながら、不安で曇ってしまった可愛いい部下の顔を覗きこんだ。
「は、はい…ハンジさんの仰る通りですね…私達に、悩んでる暇はありませんね!」
「そうだぞクレア。もう104期も入ってくるんだ。上手くいくと信じよう。」
「モブリットさん…そうですよね。積み重ねた訓練を信じて頑張らないといけないですね…」
ハンジとモブリットに微笑みながら返事を返すと、開門の合図の鐘が鳴った。
ーカラーンコローンー
「開門の30秒前ー!!!」
「デイジー、今日も宜しくね!」
ハンジとモブリットの励ましで少し気持ちを落ち着かせたクレアは手綱を短く持ち直すと、駈歩発進の体制を取りながら開門を待った。
「ブルンッ!!」
頭を大きく2回縦に振ったデイジーは前掻きをしなから戦闘モードに切り替える。
「総員!!進めぇーーー!!!」
エルヴィンの掛け声と共にトロスト区の門が開くと、調査兵たちはいっせいに壁外へと走り出した。