第47章 悪夢、再び
今思い出しても、確かにあの時のハンジはカッコよかった。だが、口が裂けても言える内容ではない。
「あのクソメガネの事だ。どこまでが冗談だか分かったもんじゃねぇよ…」
「そ、そんな……」
「はぁ…もう黙れよ……」
腑に落ちないクレアだったが、リヴァイは押し倒した身体の上に素早く覆いかぶさると、黙らせる様に深いキスをしてその唇を塞いでしまった。
「んん……ん……」
何度も角度を変え、舌を深くまで侵入させながらクレアの兵服のボタンを外していく。
「あっ…!兵長…な、何するんですか…?」
「はぁ…野暮な事聞くなよ…今日は休日だ…別にいいだろ…」
「で、ですが…」
休日とて幹部のリヴァイはやる事が山積みだ。
ハンジの元で報告書の作成ができないならリヴァイの仕事を手伝おうと思っていたのだが…
当の本人は今すぐ仕事をするつもりでは無いらしい。
すると、クレアの服を脱がせる手を止めることなくリヴァイはポツリと呟く。
「もうすぐ…次の壁外調査だ…」
「…!!」
「やる事は山積みだが、俺達にはもう今日くらいしか時間が無い…少しくらい…いいだろ…?」
「へ…兵長……」
次の壁外調査…
リヴァイの言う通り、もう間もなく次の壁外調査だ。
しかも、夜営を伴う壁外調査。
初の試みになるため、何が待ち受けているかまったく予想がつかない。
全ての作戦において最悪の事態を想定して動かなければならないのだ。
今までの巨人捕獲実験から、巨人の活動には光が大きく関係している事が分かっている。
光を遮断すると、活動をしなくなるという実験結果があるのだ。
だが、それはその時捕獲した被験体に限っての場合の可能性も高い。
この実験では、夜間でも活動できる“奇行種”がいないという結果にはなりえないのだ。
今までの壁外調査だって想定外の事ばかりだった。
日帰りの壁外調査でさえそうなのだ。
夜営をしての壁外調査では本当に何が起こるのか分からない。しかし、もう日帰りで戻ってこれる距離ではなくなっているため仕方がない。