第47章 悪夢、再び
「いいよいいよ!またあとでこれそうだったら執務室に来て〜!ま、来れるような状態ならね。ったくリヴァイの地獄耳とクレアへの独占欲には脱帽だよ。ほら、行った行った〜。」
呆れたハンジはヒラヒラと振っていた手を今度はシッシッと追い払う様に振ってみせた。
「…だとよ。ほらお前も行くぞ…」
「あぁん…兵長……」
「じゃあ〜ね〜!ごゆっくり〜!」
ーバタンッー
扉が閉まると、ハンジはヤレヤレと2度目のため息をつくと、今度は両手を上げて大あくびをした。
「はぁ、やだやだ…まったくあの2人は…早朝から熱すぎでやんなっちゃう。」
ボソリと愚痴をこぼすと、ハンジは眼鏡を外し、再び布団に入ると、枕を抱きしめる様にして横になった。
「流石にまだ眠いから二度寝させてもらうよ〜」
夜ふかしで本を読んでいて、やっと眠りについた頃にクレアに叩き起こされたのだ。いつもならこのまま執務室に行ったりもしなくもないが、今日のハンジの身体は、すっかり朝寝坊を決め込む予定でいたのだ。
そのためいくら3大欲求が後回しのハンジでもまだ眠りたかった。
誰もいなくなった部屋に向かって“二度寝宣言”をしたハンジは、布団に潜り込むと、わずか数分で二度寝の世界へと旅立っていった。
一方、リヴァイはクレアを自室に連れて行くと、迷わずベッドの上に押し倒し、履いていたブーツを脱がして放り投げる。
「ちょっ、ちょっと待って下さい兵長!!どうしちゃったんですか?」
「それはこっちの台詞だ奇行種…あんな早朝からクソメガネの部屋に忍び込んで…欲求不満なら何故俺の部屋に来なかったんだ。」
「べ、別に私は欲求不満でハンジさんの部屋に行ったのではありません!!」
「じゃあ、ベッドの上でいったいナニやってたんだ?俺の目を盗んで乳繰り合ってたじゃねぇかよ?」
「ち、乳繰り合ってたって…別にそんな事…それにあれはハンジさんの冗談ですよ!!」
やましい気持ちなど一切ないが、自分を押し倒した中性的なハンジの魅力に、一瞬でも胸をトキメかせてしまったのは事実だが、そんな事を馬鹿正直にリヴァイに言える筈などなかった。