第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
コポポポポポ
2つのティーセットに紅茶が注がれる。
フワッといい香りが資料室に広がった。
「これはお前の分だ。少し休憩だ。」
「え?私が頂いても宜しいのですか?」
「これだけの数だ。時間がかかりそうだからな。お前も少し休憩しろ。」
「あ…ありがとうございます。」
リヴァイの淹れた紅茶はとても香りがよく、美味しかった。
「兵長、香りもよくてとっても美味しいです…こんな高級品、私なんかが頂くのは…勿体無いです…」
「ほう…この味がわかるのか?たいした奇行種だな。」
「詳しくはわかりませんが、この香りの高さは一級品です。高級品の部類に入ると思いました。本当に、美味しいです。」
さっきのギクシャクした態度はどこへやら。
クレアはニコニコと美味しそうに紅茶を飲んでいる。
「………」
茶葉の良し悪しがわかるとは。
こいつは確か医者の一人娘だったな。根暗だった性格は別として、育ちの良さがうかがえる。…悪くねぇな。
リヴァイは感心した。
小休憩を挟むと、クレアはまたすぐに作業を再開した。
「フロンティアは雄馬だが、男好きだ。こいつの前で男兵士と話すと機嫌を損ねるから気をつけろよ。」
「えぇ?!わかりました!」
「サリーは自分を人間だと思ってるくらい人間好きだ。時々毛づくろいのつもりで髪をちぎられるから注意しろよ。」
「はい…そういえばフレイアがやられてました…」
「ウーランは普段はテンション上がりやすいが、手入れの最中に寝ちまう事がよくある。特に脚を拭いてる時は気をつけろ。フラついて、自分の脚を踏まれたら、腫れるじゃすまねぇときがあるからな。」
「はい…」
「うちの班のオルオが一度やられてる。隣で別の馬の手入れをしてたペトラに話しかけてて、気が散ってたんだろう。確か、2週間くらい脚の指が腫れてたな…」
「…気をつけます」
リヴァイが時折、馬のことでこぼれ話をしてくれたので、なかなか楽しくまとめ作業は進んだ。
まもなく夕刻。外で行われている訓練もそろそろ終わりだ。
「終わりました!今晩はこれを頭に叩きこんで明日の馬当番に挑みます!!!」
「せいぜい頑張るんだな…」
「兵長!ありがとうございました!」
クレアはペコリとお辞儀をした。