第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
リヴァイは自身の執務室に戻ってきていた。
クレアの情報収集は時間がかかりそうだっため、紅茶でも淹れようと戻ってきたのだ。
給湯室にも来客用の茶葉はあったが、なんとなく、クレアには自分が気に入って買っている紅茶を飲ませてやろうと思った。
湯を沸かしながら、リヴァイは先程クレアにつかまれて乱れたクラバットを整える。
あのクソメガネは別として……女から、あんな事をされたのは初めてだ。
しかし、相手がクレアだったからだろうか、不思議と嫌な気持ちはなく、むしろ少し興奮してしまった自分がいた。
そんな趣味があったのかと、自身でも少し戸惑ったが、悪い気はしなかった。
それにしても、クレアは調査兵団に入って本当に変わった。
感情表現がとても豊かになった。
しかし、喜怒哀楽を表に出すことなく育ってきた反動なのか、クレアは時々気持ちのコントロールがきかない時がある。
先程のリヴァイに対してが、いい例だ。
普段は大人しいが、時々感情が高ぶると、暴走してぶつかってくる。
まったく面倒なヤツだが、訓練兵時代の無表情で根暗なクレアよりも、少し破天荒で奇行種な方が今のクレアには、よく似合ってるとリヴァイは思っていた。
一方、クレアは顔の赤みが引かぬまま必死に必要な情報を紙に書きとめている。
こんな貴重な情報、なかなか見れるものではない。
必死に手を動かしてはいるものの、先程の失態が、なかなか頭から離れてくれない。
クレアも自身のことを自覚していた。
立体機動の訓練の時のように、日常でも時々感情がコントロールできない時があることを……
それを……
今しがた……
あろう事か……
あの人類最強のリヴァイ兵長にしてしまったのだ。顔から火がでて全身火傷をしそうな位恥ずかしかった。
自己嫌悪に陥りながら作業を進めていると、再び扉が開く音がし、リヴァイが紅茶セットがのったトレーを持って戻ってきた。
「おい、奇行種、サボってないで進んでるか?」
「は…はい、ちゃんと…進めております……」
さっきの事を気にしているのだろうか、喋り方がギクシャクしている。
リヴァイは、少しため息をつきながら、テーブルにトレーを置き、2人分の紅茶を淹れた。