第47章 悪夢、再び
「ハンジさぁぁーーーん!!」
ベッドの上で、掛け布団がこんもりと山になっている所めがけて思いっきり飛び上がり、クレアは夜の妖精とも言われているモモンガの滑空の様に、両手両脚を広げると、大の字になったままハンジの上に落下という名の着陸をした。
ードンッー
「グエッ!!!」
「ハンジさん!起きて!起きてください!!カマキリの卵が孵ったんですよ!」
実の所今日が休日だという事もあり、ハンジは明け方まで本を読んでいたのだ。
まだ眠って2時間ほどしかたっていない。
しかし、ちょうどノンレム睡眠に入ったあたりだったのにも関わらず、クレアのダイブによってその名の通り叩き起こされてしまった。
「うわ、クレア…?!いったいどうしたの?ま、まさか夜這い?ちょっ!ちょっと待ってよ…気持ちは分からなくはないが、君にはリヴァイって恋人が……」
ハンジはベッドのサイドテーブルに置いたはずの眼鏡を探しながら実にわざとらしく慌ててみせる。
やはり寝起きでも冗談を言えるこのテンション。
さすがに天下一品だ。
「もうハンジさん!冗談言ってないで!カマキリの卵が今年も無事に孵ったんですよ!積雪の記録もちゃんとありますし、これを報告書としてまとめたらきっとハンジさんの話もみんな信じるはずです!!」
「ほ、本当に??すごいじゃん!苦労して記録した甲斐があったね!!じゃあすぐに報告書にまとめよう!…と、言いたいところだけどぉ……エイ!!」
「……え?……キャッ!キャアア!!」
ハンジは自身の上に馬乗りになっているクレアの腕をグッと掴んで押し倒すと、自身の下に組み敷いてしまった。
見下ろしていたハンジの顔が一瞬にしてグルリと回転し、見上げてしまっている。
いったい何が起きたのだろうか…
何故だかドキドキと心臓がうるさい。