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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第46章 巣立つ想いと、残る想い






気持ち良く飲み始めたハンジを見ながら、モブリットも心の内を悟られぬ様考える。


自分が訪ねてきた事に少なからずハンジは狼狽えていた。まぁ無理もないだろう。

あれだけ昼も夜も休日も一緒だが、ハンジが1人で起きている時間に、このプライベートな空間に踏み込む様な事など、今の今まで一度もなかったのだから。


それはモブリットが意識的にしていた事だ。


ハンジに対して、恋慕の想いに気づいてからは特にだ… 
自分の気持ちには蓋をして敬愛を貫く。

それは自分自身で決めた事。

しかし、今目の前でホロ酔いになっているこの我が上官は、この兵団の誰よりも頭がよく鋭い。

おそらくそれは、団長であるエルヴィンと引けを取らぬ程に。

だから、自分のこの恋慕の想いなど、隠したところで無駄なのだ。

そんな事は分かっていた。

分かっていたが、だからといってこの想いを伝えるという選択肢を選ぶ事はできなかった。

自分を1人の男として見てもらう事が叶わぬのなら、玉砕覚悟で想いを伝えるより、男として意識されなくても、いつまでもどこまででも側に、そして他の誰よりも近い距離で役に立ちたいと思った。



きっと、この人は自分のこの想いを全てお見通しだ。

それでもなお、お互いが近い距離のままで居られる様に、気づかないフリをしてくれていると思っていた。



だから、自分も分隊長が気づかないフリをしている事に対して気づかないフリをしてきた。




そう…だからこそ、ずっと彼女が“気づかないフリ”をしてきたであろう事は、さっき自分に見せた表情で十分に確信へと変えることができた。



あの少し狼狽えた様な表情。

あんな顔を見たのは初めてだった。



きっと、向けられる想いに気づかぬフリをし、信頼しきっていた自分が、血迷って間違いを起こしに来たのでは…と思ったのではないか。


一瞬見せた“女”としての警戒心。


その狼狽えた目が、今まで自分がしてきた予想が全て正解だったのだと…教えてくれた。



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