第45章 プレゼントは奇行種
少し歩いた所に綺麗そうな宿屋を見つけると、2人は迷わず中に入っていった。
「…部屋は空いてるか?」
「はい、お2人さんね…」
ーカシャンー
フロントにいた中年の男は、2人を見ると空いてる部屋の鍵を1つだけ、無造作にカウンターに置いた。
この男には、2部屋必要だとは思われなかった様だ。
「…いくらだ?」
「あっ、待って下さい!!」
リヴァイが支払いをするため財布をだしたが、ここは自分が払わねばとクレアも慌てて財布を出したが、リヴァイはそれを許さなかった。
「大丈夫だ。」
「…ですが…」
有無を言わさずスムーズに会計を済ませると、リヴァイは戸惑っているクレアの手を取り部屋へと向かった。
部屋は2階の角部屋だった。
扉を開けると、ダブルベッドが部屋の真ん中に1つ。
そして狭いがシャワー室とトイレがついていた。
「あの…兵長…私!!」
「あ?金ならいらん。」
「えぇ…?!」
確かにクレアはリヴァイの望み通り自分との時間を差し出す事をプレゼントとしたが、宿代を払わせてしまってはなんだか誕生日プレゼントとしては本末転倒な気がする。
末端兵士は薄給だが、クレアは香油を買う事位しか金を使っていない。それに今は客から貰ったおひねりの小銭が小さなショルダーバックにパンパンに入っている。
別に無一文という訳ではないのだ。
しかし、リヴァイはクレアの申し出を一刀両断で断ってしまう。
「お前に宿代を出させるほどヒモじゃねぇよ。それに…」
「え……?」
リヴァイはクレアと向き合うと、かぶっていた帽子を取り、マフラーをほどき、コートのボタンも外してテキパキと脱がしていく。
「へ、兵長?!」
脱がした物をテーブルに置くと、リヴァイはそのままクレアを横抱きにして、ベッドに放り投げた。
「キャアッ!!」
そして、素早くリヴァイは靴を履いたままベッドに上がると、軽々と放り投げられたクレアを組み敷き、顔の横に手をついてその戸惑っている表情を見下ろした。