第44章 その奇行種、舞姫
「ハンジさーん!!私のダンス、どうでしたか??」
クレアはハンジにかけよると、とびきりの笑顔で抱きついてきた。
「いや!クレア凄いねぇ!!あんなにダンスが上手いとは思ってもみなかったよ!!ダンスは習ってたの?」
「あ、いえ…確かに内地に行くことがそれなりにあったので、嗜みとして習わされてましたが、ごくごく基本的なものばかりです。」
「え?!あんなにキレッキレに踊ってたのに??」
「そ、それって…さっきのパソドブレの事ですか?あれは…実は…ほとんどアドリブでした……」
「はぁ!?」
リヴァイを含めそこにいる全員が驚愕をした。
「だって!だって!!あんなにキレッキレで、言っちゃあ何だけど、表情もなんか勇ましいというか、攻撃的というか、ドSっぽいというか、なんかエッチぃ雰囲気とかメッチャ出てたけど、それはいったいどっからでてきたのさ?!」
「確かに少しは習ってましたが、貴族の夜会ではワルツがメインなので、あまり派手な振り付けになるパソドブレはそこまで本格的に習わなかったんです…」
「…………」
よく見るとリヴァイも珍しく鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていた。
きっとクレアの話と、たった今起こった出来事がうまく繋がらないのだろう。
「なので曲が演奏された時は一瞬迷いましたが、でもパソドブレは好きな演目だったので、何だか“イケる!”って思っちゃったんですよね……で、踊りだしたら兵長、素直に私のリードでステップ踏んでくれたのでなんだか楽しくなっちゃって…やってしまいました……」
「オイオイオイオイ、突然男女逆の組み方なんかされたら嫌でもリードされるしかないだろう…」
「そ、そうですよね…すみません…兵長の表情見たらご存知なさそうだったので、恥をかかせてはいけないと思い、閃いたのがアレだったんです。本当にすみませんでした……」
……さすがはハンジ班の奇行種。
と、その場にいた全員が思ったことだろう……