第44章 その奇行種、舞姫
「おねぇさ〜〜ん!!コレおかわり〜!大盛りで!」
そして周りの雰囲気に同調する様に、酒杯を次々に空けていく人物がここにも1人。
第4分隊分隊長、その名もハンジ・ゾエ。
「分隊長、今日の幹事は分隊長なんですから絶対に潰れないで下さいよ!!」
「分かってる分かってるって!!」
モブリットが忠告を入れるがハンジは右から左に流してしまう。ハンジが潰れれば連れて帰るのは確実に自分なのだ。
そんな姿に少し気を揉みながらもモブリットはハラハラと見守るしかなかった。
だがしかし、ハンジのテンションに引っ張られる様に陽気になる人物が1人。
その名も、ハンジ班の奇行種クレアだ。
クレアはアルコール度数の低いシャンパンをリヴァイが選んだにも関わらず、なんだかいい感じに出来上がってしまっている。
「フフフ…ウフフフ。楽しい♫」
両手を口元にあて、さっきからクスクスと笑っている。
「おいどうしたクレア…?」
「どうもしてないですよ、へーちょう?」
小首を傾げて熱のこもった視線で色っぽくも可愛らしい笑みを向けるクレア。
リヴァイは何か嫌な予感がしたが、クレアは酒に口をつけているにも関わらずなかなかグラスが空かなかった。
最初はチビチビ飲んでいるのかと思い、気に止めなかったが明らかに目の前のクレアは酔っ払っている。
しかし、残っていたシャンパンは全てリヴァイが飲んでしまっていたので、このシャンパンをクレアが飲んだとは考えにくい。
いったいどうしたんだ。
リヴァイは酒を飲んでミケたちと話す素振りをしながらも、ハンジと楽しそうに話すクレアを注意深く観察すると、衝撃的な瞬間を目撃してしまった。
「もう〜やだ〜ハンジさんったら〜♫」
楽しそうにはしゃぐクレアのグラスに、ハンジはさり気なく自分の酒を少しずつ入れていたのだ。