第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「リヴァイ、何か考えがあるの?」
「まぁな…」
「…わかった……悔しいけど、クレアのことはリヴァイに任せるよ。午後の合同訓練は私が指揮をとらなきゃいけないから……ってリヴァイは平気なの?」
「エルドに任せてきたから問題ない。昼休憩でアイツに会ったら執務室に来るように伝えておけ。」
「……わかった。クレアのこと、宜しく頼む!」
「あぁ……」
──クレアは自室で1人泣いていた──
両親が死んでからここにいたるまで、全て自分でなんとかしてきたクレアは、今回のことも自分で乗り越えるつもりだった。
もともとストイックなクレアは、困難に立ち向かうことは苦ではない。
でも、今回は問題の重大さが違ったのだ。
体格の小さいクレアはデイジーでさえも乗りこなすのに半年以上の訓練と自主トレを続けてやっとかたちになったのだ。
でも今回はどうだろうか。
60頭近くいる馬の全てが課題なのだ。
しかも期限は壁外調査まで。
まだ壁外調査の日程は決まっていないが、刻一刻と期限が迫ってきているのは事実だ。
そんな中で、今朝リヴァイから、当然の事実を突きつけられたとき、今まで感じたことのないプレッシャーが襲いかかり、押しつぶされてしまったのだ。
少しずつ人との関わり方を覚えてきたクレアであったが、何かを相談したり、誰かに助けを求めるといったことを今までしたことがなかった。
今回のことは、そうするべき問題だったが、正解がわからなかったクレアは1人でこじらせてしまい、ハンジに心配をかけ、叱責される事態になってしまったのだ。
「う……うぅ……。」
自分は年相応に大人だと思っていた。
でもまったくそんなことはなかった。
こんなに悔しくて、悲しい気持ちになったのは初めてだ。18にもなるというのに、気持ちの切り替え方がまったくわからない。
喜怒哀楽が表に出やすくなったクレアは落ち込み具合も半端なかった。
もう今は何もする気になれない。
ーコンコンー
「クレア、入るよ?」
「……………!?」
入ってきたのは、ハンジだった。
「いたいた、探したよ〜。」
「………」
どうしよう…今は…ハンジさんに合わせる顔がない。