第44章 その奇行種、舞姫
「そっか、それならいいんだ。いやぁ、私はてっきり今朝誕生日パーティーの件をつげたら、その健気に伝えるクレアの可愛い姿にリヴァイは欲情しちゃって朝からお盛んだったのかなぁと思ったんだ!!でもどうやら私の杞憂だったみたいだね??」
「ハンジさん!!!」
まさかの図星を突かれてしまい思わずガタンと立ち上がってしまう。
「あっれ〜?!もしかして図星かい?」
「ひっ!!?」
ニカッと笑ったハンジにトドメを刺されると、クレアはボンッと顔を上気させてヘナヘナと座り込んでしまった。
「アハハ!!見事に茹だったね〜!可愛いなぁクレアは!!」
「もう…ハンジさんの意地悪……最初から分かってたならそっと心にしまっといて下さいよ…」
朝から疲弊した上に変な汗までかいてしまったクレアはもうグッタリだった。
「それにしてもリヴァイは容赦ないねぇ!!そんなんで今日訓練大丈夫なの?」
「そ…それは……」
確かに疲弊はしているが、まったく足腰立たなくなった訳ではない。
訓練は持ち前の“奇行種パワー”で乗り切れるつもりだったのだが…
「ハッ、心配は無用だクソメガネ…その辺はちゃんと加減したからな。」
「あれ?朝からお盛んな節操なしのリヴァイ?今の話聞いてたの?」
「ハ、ハンジさん!!それに…兵長?!」
まさかの話題の本人のお出ましに、ハンジはサラッと品の欠片もない受け答えをして見せた。
「“聞いてたの?”じゃねぇよ!趣味の悪い聞き耳立てやがって。」
「えーっ?気づいてたの?おっかしーなー。必死に笑うの我慢してたのになー」
ハンジはイスを前後にガタガタさせながらブーブーと実にわざとらしく残念がった。
「ふざけるな、あんな気色の悪い引き笑い、聞こえない方がどうかしてるだろ。」
「え?えー??ハンジさん…聞いてたんですか…というか兵長は気づいてたんですか?」
どうやらクレアはハンジが執務室の前にいたとまでは思っていなかった様だ。