第44章 その奇行種、舞姫
「なんだよ、口ごもって俯いて顔真っ赤にすれば誰がなんと言おうと“ヤリたい”の合図だろう。違うのか?」
「へ、兵長!?なんでそれだけでそんな解釈になるんですか?」
「はぁ?こんだけ分かりやすい態度だしといて違うはねぇだろ?」
まったくもって2人の主張が噛み合わない。
でも、ここでおとなしくしていたら朝からリヴァイのペースになってしまう。
クレアはブンブンと首を振るとリヴァイの両肩をグイッと持ち上げひとまず先に防衛線をはった。
「へ、変な態度とってすみません…!!でも、本当に違うんです!」
「だから何が違うって言うんだ??」
“奇行種”になりきってないクレアの抵抗など赤子の手をひねるのと同じだ。
変にスイッチが入ってしまったリヴァイはその防衛線を崩しにかかるが、クレアの発した言葉によりこの攻防戦は一時休戦となる。
「も、もうすぐ兵長のお誕生日です…!!」
「はぁ…?!」
予想もしていなかった話題に変な声を出してしまったが、確かにもうすぐ誕生日と言われればその通りだ。
今年も何かしてくれるのかと少し期待もしたが、よくよく思い出すと昨年の誕生日プレゼントは前半は極楽浄土、後半は無自覚放置プレイというなんとも斬新で“奇行種”らしいプレゼントだった。
結局最後はベッドに沈めたため結果オーライだったのだが、やはり奇行種クレアの考えている事は毎回驚愕させられる。
そのため少し身構えてしまった。
「…確かにお前の言う通り、俺の誕生日だったな…」
「あの…今年はハンジさん達と外に飲みに行きませんか?ハンジさんがいつも皆さんで行っているお店を予約したそうなんです。最近は幹部の皆さんで飲み会もされてないと仰ってたので…どうでしょうか?」
少し緊張しながら提案をするクレアを見てリヴァイは考える。
自分の誕生日を祝ってくれるのならば、クレア自身の時間を全て自分にくれと言いたい所だったが、こうして提案をしてくれているのなら素直に受け取るべきだろう。