第44章 その奇行種、舞姫
ー数日後ー
ハンジから無事に店の予約が取れたと言われた。
今年のリヴァイの誕生日は休日の前の日。
そのため訓練が終わってから街に出るというスケジュールになりそうだ。
伝言は“予約が取れた”という実に単純且つシンプルなものだというのに、ハンジのテンションがやたら高いのは何故だろうか。
疑問に思って問いかけてはみたが、変な鼻歌ではぐらかされてしまい疑問は深まるばかりだった。
しかし何かを企むにしたって、幹部組行きつけの居酒屋で飲み会をするだけだ。
ただの思い過ごしだろうと、その時のクレアは深く考えずにやり過ごしてしまった。
ー翌朝ー
「兵長…あの……」
「……なんだ?」
早速翌朝リヴァイに誕生日パーティーの事を伝えようと声をかけたが、何となく照れくさくなってしまい少し口ごもってしまった。
「なんだよ?言いにくい事なのか?」
「あ、そ、そういう訳ではないんです。」
両手を前に出し、慌てながらブンブンと手を振るクレア。
なんだがデートの誘いをするみたいで、ドキドキと胸は高鳴ってしまい、気づけば顔は真っ赤だ。クレアは自分でも分かる程に頬が熱くなっているのを感じた。
「はぁ……なんだよ。」
しかしリヴァイは小さくため息をつき、トントンと書類をまとめてテーブルに置くと、クレアの肩に腕をまわしそのまま唇を重ねてしまった。
「…え…兵長?!!ん……んん…」
まさかの口付けに頭が混乱するが、リヴァイはそんなクレアに構うことなくソファに押し倒すと慣れた手付きで組み敷いてしまう。
「…ん……んん…あ…、…へ、兵長??いったいどうしたんですか?」
長い口付けから解放されたクレアは少し息をあげながら驚きを隠せずリヴァイに問いかけた。
「あ?!今のは“ヤリたい”のサインじゃなかったのか?」
「え?えぇ?!!」
確かにここ最近はまともにプライベートで2人になれる時間もなく、リヴァイと男女の時間は“ご無沙汰”だったかもしれない。
だからと言ってなんでこんな朝方からそんな解釈をするのかクレアにはサッパリ意味が分からなかった。