第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
いったい何をすれば自分が他の兵士達より、いや、むしろハンジより特別な存在になれるのかわからなかった。
「そういえば、明日はお前の班と馬当番の日だったな。馬にはちゃんと乗れるようになったのか…?」
「………………」
触れられたくない話題だったのだろう。目を泳がせ、どう話をごまかそうかと考えている顔をしている。
「なんだ、奇行種のお前が行き詰まっているのか?珍しいこともあるもんだな。」
「ハンジさんからは、他の新兵よりしっかり頭数乗るように言われています……」
「そうか…そろそろ壁外調査の日程もつめる頃だ。しっかり頑張るんだな。あまり言いたくはないが、壁外でお前の愛馬に何かあった時、すぐに予備馬で最高速度をだせなければ、どんなに立体機動の腕をもっていても生きて帰ってこれねぇぞ。」
壁外では馬が命の要といっても過言ではない。
「はい……承知しております。」
心なしか少し覇気がない。
本人も悩んでいるのだろうか。
リヴァイとて、クレアを馬ごときの問題で死なせたくはない。
クレアは決して乗り方が下手なわけではない。
ただ小柄すぎる体格のせいで馬がまだ慣れていないのだ。
何かいい方法はないだろうか。
「では兵長、失礼致します。」
クレアを笑顔に戻すことができないまま掃除は終了し、出ていってしまった。
「……………チッ。」
リヴァイはもどかしくなり、自分自身に舌打ちをした。
その日、クレアは珍しく訓練になかなか集中できていなかった。
何度も何度も自身を奮い立たせようとしたが、リヴァイの最もな忠告が頭から離れなかった。
ーその時ー
ザザザザザッ!
急激に落下する感覚がクレアを襲った。
はっ!っとした。今は立体機動の訓練中だったのだ。
「きゃっーー!」
慌てて右手のアンカーを射出したため、地面に叩きつけられるのを免れた。
ワイヤーを巻取り地面に着地すると…
クレアの落下を目の当たりにしたハンジとモブリットがすぐに飛んできた。
「クレアいったいどうした?!」
モブリットがクレアに怪我がないか確認する。
「ハンジさん、モブリットさんすみません…ちょっと手元が狂ってしまって…」