第43章 姉妹の絆
「そ…そんな……マリア」
マリアの言葉にそこにいた全員が胸を打たれた。
マリアの言っていた通りフレイアは周りの人間によく気遣うタイプだった。
気を遣い、世話を焼き…
そんな性格からか、討伐補佐の戦績も優秀でミケ班の班員は何度もそんなフレイアに助けられたはずだ。
そして同様にクレアもそんなフレイアに何度助けられたか…
もはや数え切れない程だ…
マリアの言葉によって心が救われた3人。
本来ならば自分達がマリアの心の傷に寄り添ってあげなければならない立場だったというのに、わずか10歳の少女の聡明さに逆に心救われてしまった。
よく見ると、その迷いの無い眼差しは姉のフレイアにそっくりだ。
改めてこの姉妹の絆を感じた3人。
「マリア……本来ならば俺たちが遺族の悲しみを受け止めなければならない立場だと言うのに…君の言葉に俺たちが心救われてしまった。なんとも恥ずかしい話だ…すまない…」
ミケが軽く頭を下げながら謝罪をするが、マリアは明るく答える。
「そんなことありません。お姉ちゃんは志半ばで死んでしまいましたが、その自身の人生の選択に悔いはなかったはずです。」
「そうか…」
申し訳なさそうな返事をしたミケだが、エルドが続けるように口を開いた。
「マリア…マリアの気持ちは良くわかった。でも、無理だけはしないでくれ…もし何か困った事があったら俺を頼ってきて欲しい。俺は今日、それを伝えたくて来たんだ…」
「エルドさん…」
「俺は情けなくもフレイアが死んでしまった時、自分を見失ってしまった。でもなんとか正気に戻る事ができた。だからフレイアが大切にしていたものや守りたかったものは…この先はこの俺が守っていきたいんだ。だから、こんな俺だけど、マリアの事…どうか守らせて欲しい…」
マリアにとって姉の恋人だったエルドは兄の様な存在だった。女姉妹で育ってきたマリアには兄という存在がとても新鮮で、とても頼もしくて、心から尊敬していた。
そんなエルドの申し出をマリアが断るはずがない。
マリアは嬉しそうにその申し出を受けた。